わかりやすいまちづくり入門

7章 続けること、終えること

やめる・引き継ぐという選択

このページでわかること

  • 目的が達成されたときや、状況が変わったときなど、やめることが正しい選択になることもある
  • 「続けるか、やめるか」だけでなく、形を変える、小さくする、引き継ぐ、休むなどの選択肢がある
  • 活動が行政の仕組みや他の団体に引き継がれるのは、成功のひとつの形
  • やめるときは、早めに伝え、行き先を考え、お金と物を整理し、記録を残し、お礼を伝える
ひなた

このページでは、活動を「やめる」「引き継ぐ」ことについて説明するよ。

やめるのは失敗?

ひなた

5章では「どうすれば続くか」をたくさん考えたけど、やめちゃうのはダメなことなの?

さとる

そんなことはないよ。やめることは、失敗とはかぎらないんだ。

5章の最初に、「続けること自体が目的になるのは良くない」と話したよね。活動は、ミッションを実現するための手段だった。だから、こんなときは、やめたり形を変えたりすることが正しい選択になるんだよ。

さとる
  • 目的が達成されたとき:たとえば、市が中高生の居場所をたくさんつくってくれて、自習会がなくても困らなくなった
  • 状況が変わったとき:中高生の困りごとが変わって、別のやり方のほうが合うようになった
  • 担い手がどうしても見つからないとき:無理に続けると、残った人が燃え尽きてしまう
ひなた

目的が達成されてやめるなら、むしろうれしいことだね。

やめる以外の選択肢

さとる

「続けるか、やめるか」の2つだけじゃなく、いろんな選択肢があるんだ。

選択肢どういうこと?自習会の例
形を変えるやり方や中身を変えて続ける自習会から、オンラインで集まる会に変える
小さくする回数や規模を減らして続ける月1回を、3か月に1回にする
他の団体に引き継ぐ同じ目的の団体に活動を渡す地域の子ども食堂の団体に、自習会も一緒にやってもらう
仕組みに引き継ぐ行政などの仕組みの一部にしてもらう市の居場所づくりの事業として続けてもらう
休むいったんお休みして、また再開できるようにする受験の時期は休んで、春から再開する
やめるきちんと終わりにする最後の回を開いて、みんなでふり返る
ひなた

「引き継ぐ」もあるんだね。

さとる

3章の歴史のページで、「市民が先に動いて、それが新しい仕組みになる」と話したよね。自分たちの活動が、行政の仕組みや他の団体に引き継がれていくのは、活動が成功したということでもあるんだ。

きちんとした終わり方

ひなた

もし本当にやめることになったら、どうすればいいの?

さとる

やめるときにも、大事なことがあるよ。

さとる
  1. 早めに伝える:参加している人や、応援してくれた人に、できるだけ早く知らせる
  2. 行き先を考える:参加していた人が困らないように、代わりに行ける場所や活動を紹介する
  3. お金と物を整理する:残ったお金や道具をどうするか決めて、報告する(同じ目的の団体に寄付する、など)
  4. 記録を残す:何をして、何がうまくいって、何が難しかったかを書き残す
  5. お礼を伝える:関わってくれた人に、感謝を伝える
ひなた

どうして記録を残すの? もうやめるのに。

さとる

いつか、同じような困りごとに気づいた誰かが、また活動を始めるかもしれないよね。そのとき、記録があれば、ゼロからじゃなく、先輩たちの経験から始められるんだ。

それに、NPO法人などの場合は、残ったお金や財産をどうするかが法律や団体のルールで決まっていることもあるから、きちんと手続きをすることも大事だよ。

7章のまとめ

さとる

これで7章はおしまい。

  • 閉じたグループにならないために:居心地の良さが入りにくさにならないよう、新しい人が入れる道をつくる。安心とのバランスも大事
  • やめる・引き継ぐ:やめることは失敗とはかぎらない。形を変える、引き継ぐ、休むなどの選択肢もある。やめるときは、きちんと伝え、整理し、記録を残す
ひなた

でも、活動をやめちゃったら、それまでやってきたことは全部なくなっちゃうの?

さとる

いい質問だね。実は、活動が終わっても、まちに残るものがあるんだ。それが次の8章のテーマだよ。

ポイント

  • 目的が達成されたときや、状況が変わったときなど、やめることが正しい選択になることもある
  • 「続けるか、やめるか」だけでなく、形を変える、小さくする、引き継ぐ、休むなどの選択肢がある
  • 活動が行政の仕組みや他の団体に引き継がれるのは、成功のひとつの形
  • やめるときは、早めに伝え、行き先を考え、お金と物を整理し、記録を残し、お礼を伝える