わかりやすいまちづくり入門

3章 「みんなのため」ってなに?

公益とは?

このページでわかること

  • 公益とは「みんなのため」になることで、メンバー以外の不特定の人も得をするのが特徴
  • 「誰のためか」で、私益(自分)・共益(仲間)・公益(みんな)に分けられる
  • まちづくりの活動は、共益と公益の間にあることが多い
  • 公益の「みんな」には、声を上げにくい人、少数の人、まだここにいない人も含まれる
  • 何が公益かは、役所だけでなく住民やNPOも考えて動いていい
ひなた

このページでは「公益こうえき」について説明するよ。

公益とは?

ひなた

公益ってなに?

さとる

ひとことで言うと、「みんなのため」になることだよ。

まちづくりの活動は、たいてい「みんなのため」にやっているよね。公園の掃除も、子ども食堂も、防災訓練も。この「みんなのため」を、少しかたい言葉で「公益」と言うんだ。

ひなた

「みんなのため」なら、なんでも公益なの?

さとる

そこが、このページで考えたいところなんだ。「誰のためか」で分けると、わかりやすくなるよ。

私益・共益・公益

さとる

「誰のためになるか」で分けると、3つに分けられるんだ。

呼び方誰のため?例
私益しえき自分や家族のため自分の家の前を掃除する
共益きょうえき仲間(メンバー)のためテニスクラブのメンバーで、自分たちのコートを整備する
公益メンバー以外も含めた、不特定の人のため誰でも使える公園を掃除する
ひなた

共益と公益の違いがむずかしい……。

さとる

ポイントは、メンバーじゃない人も得をするかどうかだよ。

テニスクラブのコートはメンバーしか使えないから、整備して得をするのはメンバーだけ。でも公園は誰でも使えるから、掃除をすると、近所の人も、通りがかりの人も、遠くから遊びに来た子どもも、みんな得をするよね。

ひなた

なるほど、「知らない人まで得をする」のが公益なんだ。

さとる

そういうこと。

ちなみに、共益が悪いというわけじゃないよ。仲間で助け合うことも大事だし、共益の活動がいつの間にか公益に広がっていくこともあるんだ。

自治会の活動はどっち?

ひなた

じゃあ、2章で出てきた自治会の活動は? 会費を払った人のための活動だから共益?

さとる

いいところに気づいたね。実は、自治会の活動は共益と公益の両方の性質を持っているんだ。

会費を払っているメンバーのための活動という意味では共益だけど、自治会が管理している防犯灯は、自治会に入っていない人の夜道も照らしているよね。お祭りには誰でも参加できるし、災害のときの助け合いも、メンバーかどうかで分けたりしない。

さとる

このように、まちづくりの活動は、共益と公益の間にあることが多いんだ。「どっちか」ではっきり分けるより、どれくらい「みんな」に開かれているかで考えるといいよ。

「みんな」って誰?

ひなた

公益の「みんな」って、町に住んでいる人全員のこと?

さとる

今住んでいる人はもちろんだけど、それだけじゃないんだ。まちづくりで「みんな」を考えるときは、こんな人たちのことも忘れないようにしたいね。

  • 声を上げにくい人:困っていても「助けて」と言えない人、言葉や制度がわからない人
  • 少数の人:障害のある人、外国から来た人など、数が少ない立場の人
  • まだここにいない人:これから生まれる子ども、これから引っ越してくる人
ひなた

まだいない人のことまで考えるの?

さとる

そうだよ。1章で、まちづくりの目的のひとつに「次の世代へ」があったよね。今の人だけがよければいい、というまちづくりでは、続いていかないんだ。

多数決なら公益?

ひなた

「みんなのため」なら、多数決で決めればいいんじゃないの?

さとる

多数決は大事な決め方だけど、それだけだと困ることがあるんだ。

たとえば、町の100人のうち97人が「バスなんていらない、みんな車で移動するから」と言ったとするね。多数決ならバスはなくなる。でも、車を運転できない3人のお年寄りは、病院にも買い物にも行けなくなってしまう。

ひなた

3人にとっては、すごく困ることだね。

さとる

そうなんだ。人数が少なくても、その人にとっては暮らしていけるかどうかの問題かもしれない。

だから、公益を考えるときは「多い人が得をするか」だけじゃなくて、「誰かが取り残されていないか」も大事にする必要があるんだよ。

公益は誰が決めるの?

ひなた

じゃあ、何が公益かは誰が決めるの? 市役所?

さとる

昔は「公益=役所が決めて、役所がやること」と考えられていた時代もあったんだ。

でも今は、住民やNPOも、自分たちで「これはみんなのためになる」と考えて動いていい、という考え方が広がっているよ。子ども食堂も、最初は役所が決めたんじゃなくて、「この子たちをほうっておけない」と思った市民が始めたものなんだ。

さとる

「公益は役所だけのものじゃない」というのが、この3章のテーマだよ。次のページでは、それを「公・共・私」という3つの領域で整理してみよう。

ポイント

  • 公益とは「みんなのため」になることで、メンバー以外の不特定の人も得をするのが特徴
  • 「誰のためか」で、私益(自分)・共益(仲間)・公益(みんな)に分けられる
  • まちづくりの活動は、共益と公益の間にあることが多い
  • 公益の「みんな」には、声を上げにくい人、少数の人、まだここにいない人も含まれる
  • 何が公益かは、役所だけでなく住民やNPOも考えて動いていい