わかりやすいまちづくり入門

8章 まちに何が残る?

信頼のつながり(ソーシャルキャピタル)

このページでわかること

  • 活動が終わっても、人と人の信頼のつながりは、まちに残り続ける
  • こうしたつながりを「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」と呼び、信頼・おたがいさま・ネットワークの3つで説明される
  • つながりには、似た人どうしの「結びつき型」と、ちがう立場の人をつなぐ「橋渡し型」がある
  • 阪神・淡路大震災では、救助隊に助けられた人は約2%で、多くは自分や家族、近所の人によって助け出された
ひなた

このページから8章。活動のあとに、まちに残るものについて説明するよ。

活動が終わっても残るもの

ひなた

前のページで、活動が終わっても残るものがあるって言ってたよね。それってなに?

さとる

人と人の、信頼のつながりだよ。

自習会でいうと、こんなことが残るよね。

  • 自習会で知り合った友だちどうしの関係
  • 自習会を通じて顔見知りになった、自治会の人やお店の人
  • 「あのお兄さんに相談すれば大丈夫」という、地域の大人への信頼
  • 「困ったら、みんなで何とかできる」という経験
さとる

自習会がなくなっても、こういうつながりは、まちの中に残り続けるんだ。

ソーシャルキャピタルとは?

さとる

こういう「人と人の信頼のつながり」のことを、ソーシャルキャピタルと呼ぶことがあるよ。日本語では「社会関係資本」と訳されるんだ。

ひなた

「資本」って、お金のこと?

さとる

「資本」は、何かを生み出すもとになる「財産」のことだよ。お金や建物だけじゃなく、人と人の信頼も、まちにとっての財産だ、という考え方なんだ。

ソーシャルキャピタルは、大きく3つの要素で説明されることが多いよ。

要素どういうこと?
信頼「この人なら大丈夫」と思える関係がある
おたがいさま助けてもらったら、今度は誰かを助ける、という気持ちがある
ネットワーク人と人、団体と団体がつながっている

つながりには2種類ある

さとる

つながりには、2つのタイプがあるんだ。

  • 結びつき型:家族、仲の良い友だち、同じ自治会の人など、似た人どうしの強いつながり
  • 橋渡し型:自治会とNPO、中高生と商店街の人など、ちがう立場の人どうしをつなぐつながり
ひなた

どっちが大事なの?

さとる

どっちも大事だよ。結びつき型は、困ったときに助け合える安心をくれる。橋渡し型は、新しい情報やアイデア、ちがう力を運んでくれる。

7章で話した「閉じたグループ」は、結びつき型だけが強くなりすぎた状態とも言えるね。まちづくりの活動は、特に橋渡し型のつながりをたくさん生み出してくれるんだ。

つながりが命を守ることも

さとる

信頼のつながりの大切さがよくわかる例があるんだ。

1995年の阪神・淡路大震災では、建物の下敷きになったり、閉じこめられたりした人がたくさんいた。その人たちが誰に助け出されたかを調べた調査があるんだよ。

誰に助けられた?割合
自分で脱出約35%
家族約32%
友人・近所の人約28%
通りがかりの人約3%
救助隊約2%
ひなた

救助隊に助けられた人って、こんなに少ないの!?

さとる

大きな災害のときは、救助隊の数が足りなくて、すぐには来られないんだ。だから、近所の人どうしの助け合いがとても大事になる。

そして、「あの家にはおばあちゃんが一人で住んでいる」と知っているのは、ふだんからつながりのある近所の人なんだよ。

ひなた

ふだんのつながりが、いざというときに役に立つんだね。

活動はつながりを育てる

さとる

まちづくりの活動は、それぞれの目的のためにやっているけど、その途中でたくさんのつながりを育てているんだ。

子ども食堂で知り合った親どうし。お祭りの準備で話すようになったおじいさんと高校生。清掃活動で顔見知りになった、となりの町の人。

一つひとつの活動は、いつか終わるかもしれない。でも、育ったつながりは、まちの財産として残り続ける。それが、まちづくりの活動が「無駄にならない」理由なんだ。

ポイント

  • 活動が終わっても、人と人の信頼のつながりは、まちに残り続ける
  • こうしたつながりを「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」と呼び、信頼・おたがいさま・ネットワークの3つで説明される
  • つながりには、似た人どうしの「結びつき型」と、ちがう立場の人をつなぐ「橋渡し型」がある
  • 阪神・淡路大震災では、救助隊に助けられた人は約2%で、多くは自分や家族、近所の人によって助け出された

参考