わかりやすいまちづくり入門

3章 「みんなのため」ってなに?

公・共・私の違い

このページでわかること

  • 社会で動く人たちは「公(行政)」「共(市民・地域)」「私(企業・個人)」の3つに分けられる
  • しばらくは「公」と「私」の2つで考えられがちだったが、「共」の大切さが改めて注目されている
  • 3つにはそれぞれ得意・苦手があり、おたがいに補い合うとまちはうまく回る
  • 3つの領域は重なり合っていて、その重なりで一緒に取り組むことを「協働」と言う
ひなた

このページでは「公こう・共きょう・私し」の違いについて説明するよ。

社会を3つに分けてみる

ひなた

公・共・私ってなに?

さとる

社会で何かをする人たちを、大きく3つのグループに分ける考え方だよ。

領域誰?動く理由
公国、都道府県、市町村などの行政法律やルールで決まっているから
共住民、自治会、NPO、ボランティアなど自分たちで「やりたい」「やるべきだ」と思うから
私企業、お店、個人や家族もうけるため、自分や家族の暮らしのため
公行政 共市民・地域 私企業・個人 協働
3つの領域は、きれいに分かれているわけではなく、重なり合っている

昔は「公」と「私」だけだった?

ひなた

「共」ってあんまり聞かないけど、新しい考え方なの?

さとる

昔から地域の助け合いはあったんだけど、しばらくの間、社会は「公」と「私」の2つで考えられることが多かったんだ。

  • みんなのためのこと(公益)は、行政がやる
  • それ以外のことは、企業や個人がそれぞれやる

という分け方だね。

さとる

でも、社会が複雑になって、困りごとも多様になると、この2つだけでは手が届かないことがたくさん出てきた。そこで、住民や市民活動がつくる「共」の領域が、改めて大事だと考えられるようになったんだ。

「公共のことは、行政だけでなく、市民や企業も一緒に担う」という考え方は、「新しい公共」と呼ばれたこともあるよ。

それぞれの得意なこと

ひなた

3つのグループには、それぞれ得意なことがあるの?

さとる

あるよ。表にするとこんな感じ。

得意なこと苦手なこと
公(行政)みんなに公平に、同じサービスを届ける。大きなお金や仕組みを動かす一人ひとりに合わせること。新しいことをすぐ始めること
私(企業)お金がまわる仕組みをつくる。効率よく、たくさんの人に届けるもうからないことを続けること
共(市民)目の前の一人に寄りそう。気づいたらすぐ動く。新しいことを試す大きなお金を集めること。長く続けること
ひなた

それぞれ、得意と苦手が逆になってるみたい。

さとる

よく気づいたね。だから、3つがおたがいの苦手を補い合うと、まちはうまく回るんだ。

次の2ページで、「行政だけではできないこと」と「企業だけではできないこと」を、もう少し詳しく見てみよう。

境目はあいまい

さとる

最後にひとつ。3つの領域は、図のように重なり合っているよ。

  • 行政がお金を出して、NPOが運営する居場所(公と共の重なり)
  • 企業が本業で地域の困りごとを解決するソーシャルビジネス(私と共の重なり)
  • 行政と企業と住民が一緒にやる町のイベント(3つの重なり)
さとる

この重なりの部分で、立場の違う人たちが一緒に取り組むことを「協働きょうどう」と言うよ。協働については、6章で詳しく考えるね。

ポイント

  • 社会で動く人たちは「公(行政)」「共(市民・地域)」「私(企業・個人)」の3つに分けられる
  • しばらくは「公」と「私」の2つで考えられがちだったが、「共」の大切さが改めて注目されている
  • 3つにはそれぞれ得意・苦手があり、おたがいに補い合うとまちはうまく回る
  • 3つの領域は重なり合っていて、その重なりで一緒に取り組むことを「協働」と言う