わかりやすいまちづくり入門

4章 活動はどう生まれる?

困りごとに気づく

このページでわかること

  • 市民活動は、毎日の暮らしの中の「あれ?」「なんでだろう?」に気づくところから始まる
  • 困りごとは「自分の困りごと」→「みんなの困りごと」→「地域の課題」と広がっていく
  • 気づくためのコツは「歩いてみる」「聞いてみる」「数字を見てみる」「当たり前を疑ってみる」
  • 自分の思いこみかもしれないので、実際に聞いて確かめることが大事
ひなた

このページでは、活動の出発点になる「困りごとに気づく」ことについて説明するよ。

活動は「気づき」から始まる

さとる

3章で、市民活動は「市民が先に気づいて動き出す」ところから始まる、と話したよね。この4章では、活動がどうやって生まれるのかを、順番に見ていくよ。

最初の一歩は、困りごとに気づくことなんだ。

ひなた

困りごとって、どうやって見つけるの?

さとる

特別なことはしなくていいんだ。毎日の暮らしの中の「あれ?」「なんでだろう?」が、出発点になることが多いよ。

ひなたちゃんは、ふだんの生活で困っていることってある?

ひなた

うーん……。部活がない日に、放課後に友だちと勉強できる場所がないことかな。

図書館は話しちゃダメだし、ファミレスはお金がかかるし、公園は寒いし。

さとる

それは立派な「気づき」だよ。この4章では、ひなたちゃんのその困りごとを例にして考えていこう。

「自分だけの問題」?

ひなた

でも、それってわたしだけの問題じゃない? わがままっぽいし……。

さとる

そう思うのは自然なことだよ。でも、困りごとが「自分だけの問題」かどうかは、まわりに聞いてみないとわからないんだ。

試しに、クラスの友だちに聞いてみたらどうなるかな?

ひなた

……あ、きっと何人かは「わかる!」って言うと思う。

さとる

そうしたら、それはもう「ひなたちゃんだけの問題」じゃないよね。

困りごとが「地域の課題」になるまで

さとる

困りごとは、だいたいこんなふうに広がっていくんだ。

段階どんな状態?ひなたちゃんの例
1. 自分の困りごと自分が困っている放課後に勉強できる場所がない
2. みんなの困りごと同じように困っている人がいるクラスの何人かも同じことを思っている
3. 地域の課題地域の仕組みや環境に原因があるこの町には、中高生が放課後にお金をかけずにいられる場所がほとんどない
ひなた

2と3は何が違うの?

さとる

3は、原因が一人ひとりの努力じゃなく、地域の仕組みや環境にあるということなんだ。

「勉強する場所を自分で探せばいい」と言われればそれまでだけど、町を見わたしてみると、中高生が安心していられる場所がそもそも少ない。そうなると、一人ひとりががんばるだけでは解決しないよね。

ここまで来ると、「みんなで取り組む意味がある困りごと」、つまり地域の課題になるんだ。

気づくためのコツ

ひなた

ほかにも気づく方法ってあるの?

さとる

あるよ。まちづくりでよく使われる方法を4つ紹介するね。

  1. 歩いてみる:いつもの道を、ゆっくり歩いてみる。「この坂、お年寄りにはきついな」「ここ、夜は暗いな」と気づくことがある
  2. 聞いてみる:家族、友だち、近所の人に「困っていることある?」と聞いてみる
  3. 数字を見てみる:町のお年寄りの数、子どもの数、空き家の数などを調べてみる
  4. 「当たり前」を疑ってみる:「昔からこうだから」と思っていることを、「本当にこのままでいいのかな?」と考えてみる
さとる

1つ目の「歩いてみる」は「まち歩き」と言って、まちづくりのワークショップでもよくやるんだ。いつもは見過ごしているものが、意外とたくさん見えてくるよ。

気をつけたいこと

さとる

1つだけ気をつけてほしいことがあるんだ。

「これは困っているはずだ」というのが、自分の思いこみかもしれない、ということだよ。

ひなた

どういうこと?

さとる

たとえば、ぼくが「お年寄りはスマホが使えなくて困っているはずだ」と思いこんで、スマホ教室を開いたとする。でも実際は、その地域のお年寄りはスマホを使いこなしていて、本当に困っていたのは「病院までの足がないこと」だった、なんてこともあるんだ。

ひなた

だから「聞いてみる」が大事なんだね。

さとる

そういうこと。そして、困りごとを本当に知っているのは誰か、というのが、次のページのテーマだよ。

ポイント

  • 市民活動は、毎日の暮らしの中の「あれ?」「なんでだろう?」に気づくところから始まる
  • 困りごとは「自分の困りごと」→「みんなの困りごと」→「地域の課題」と広がっていく
  • 気づくためのコツは「歩いてみる」「聞いてみる」「数字を見てみる」「当たり前を疑ってみる」
  • 自分の思いこみかもしれないので、実際に聞いて確かめることが大事