担い手と世代交代
このページでわかること
- 活動が特定の一人にたよりきっている状態を「属人化」と言い、その人が抜けると活動が止まってしまう
- やっていることを書き出して「見える化」し、手順をメモに残し、少しずつ任せ、大事な仕事は2人以上が知っている状態にする
- 世代交代は、早めに次の人に参加してもらい、少しずつ役割を渡していくことが大事
- 新しい人が入りやすい雰囲気をつくることも、担い手を増やすカギになる
このページから2本目の柱「人」。担い手と世代交代について説明するよ。
「あの人がいないと回らない」
さとるさん、担い手ってなに?
活動を実際に動かしている人のことだよ。準備をしたり、連絡をしたり、当日の運営をしたりする人だね。
活動が続かなくなる理由で、とても多いのがこの「人」の問題なんだ。特によくあるのが、こういう状態だよ。
「あの人がいないと、何もわからない」 「あの人が休んだら、その月は中止」
こういうふうに、活動が特定の一人にたよりきっている状態のことを「属人化」と言うんだ。
自習会だと、わたしが受験で忙しくなったら止まっちゃうってこと?
そう。5章の最初のページで想像した、あの場面だね。
属人化はなぜ起きるの?
悪い人がいるから起きるわけじゃないんだ。むしろ、がんばり屋さんがいるほど起きやすいんだよ。
- 始めた人が、全部自分でやったほうが早いと思ってしまう
- まわりの人も「あの人がやってくれるから」と頼ってしまう
- やり方が、その人の頭の中にしかない
がんばってる人がいるのは、いいことじゃないの?
もちろんいいことだよ。でも、一人にたよりきっていると、その人が抜けたときに活動ごと止まってしまう。それに、その人自身もだんだん疲れてしまうんだ。これは次のページの「燃え尽き」の話にもつながるよ。
引き継げる活動にする工夫
どうすればいいの?
いくつか工夫があるよ。
1. やっていることを「見える化」する
まず、活動でやっていることを全部書き出してみよう。自習会なら、たとえばこんな感じ。
| 仕事 | いつ | 今の担当 |
|---|---|---|
| 公民館の部屋を予約する | 前の月の1日 | ひなたちゃん |
| 参加者に日程を知らせる | 1週間前 | ひなたちゃん |
| お菓子を買う | 前日 | ひなたちゃん |
| 当日の受付 | 当日 | ひなたちゃん |
| 片付けと鍵の返却 | 当日 | ひなたちゃん |
……全部わたしだ!
書き出してみると、こういうことに気づけるんだ。これが「見える化」の効果だよ。
2. 手順をメモに残す
「部屋の予約は、公民館の窓口で、この用紙に書いて出す」のように、手順をメモに残しておくと、初めての人でもできるようになるよ。
こういうメモを「マニュアル」と言うこともあるけど、最初は箇条書きのメモで十分なんだ。
3. 少しずつ任せる
いきなり全部を任せるんじゃなくて、最初は一緒にやって、次は見守りながら任せて、最後は完全に任せる、という順番で少しずつ渡していくといいよ。
「お菓子係」のように小さな役割から任せると、任される側も気軽に引き受けやすいんだ。
4. 「2人で1つ」にする
大事な仕事は、2人以上がやり方を知っている状態にしておくといいよ。一人が休んでも、もう一人がいれば止まらないからね。
次の世代に引き継ぐ
わたしたちが卒業したら、自習会はどうなるの?
そこが「世代交代」の話だよ。学生の活動は、卒業という終わりの時期が最初からわかっているよね。だから、早めに準備ができるんだ。
- 1年生や2年生にも、早いうちから参加してもらう
- 卒業の半年前くらいから、少しずつ役割を渡していく
- 卒業したあとも、ときどき顔を出して相談に乗る
ちなみに、地域の大人の活動では、「同じ人が何十年も続けて、気づいたらみんな高齢になっていた」ということがよくあるんだ。2章の自治会や民生委員のページで出てきた、担い手不足の話だね。
どうして若い人が入らないの?
いろんな理由があるけど、「入りにくい雰囲気」があることも多いんだ。
- 長くいる人だけでわかる言葉や決まりがある
- 新しい人の意見が通りにくい
- 「やるなら全部やってね」と、関わり方を選べない
新しい人が入りやすい活動にすることは、7章の「閉じたグループにならないために」でも考えるよ。
ポイント
- 活動が特定の一人にたよりきっている状態を「属人化」と言い、その人が抜けると活動が止まってしまう
- やっていることを書き出して「見える化」し、手順をメモに残し、少しずつ任せ、大事な仕事は2人以上が知っている状態にする
- 世代交代は、早めに次の人に参加してもらい、少しずつ役割を渡していくことが大事
- 新しい人が入りやすい雰囲気をつくることも、担い手を増やすカギになる