わかりやすいまちづくり入門

5章 活動はどうすれば続く?

担い手と世代交代

このページでわかること

  • 活動が特定の一人にたよりきっている状態を「属人化」と言い、その人が抜けると活動が止まってしまう
  • やっていることを書き出して「見える化」し、手順をメモに残し、少しずつ任せ、大事な仕事は2人以上が知っている状態にする
  • 世代交代は、早めに次の人に参加してもらい、少しずつ役割を渡していくことが大事
  • 新しい人が入りやすい雰囲気をつくることも、担い手を増やすカギになる
ひなた

このページから2本目の柱「人」。担い手と世代交代について説明するよ。

「あの人がいないと回らない」

ひなた

さとるさん、担い手ってなに?

さとる

活動を実際に動かしている人のことだよ。準備をしたり、連絡をしたり、当日の運営をしたりする人だね。

活動が続かなくなる理由で、とても多いのがこの「人」の問題なんだ。特によくあるのが、こういう状態だよ。

さとる

「あの人がいないと、何もわからない」 「あの人が休んだら、その月は中止」

こういうふうに、活動が特定の一人にたよりきっている状態のことを「属人化ぞくじんか」と言うんだ。

ひなた

自習会だと、わたしが受験で忙しくなったら止まっちゃうってこと?

さとる

そう。5章の最初のページで想像した、あの場面だね。

属人化はなぜ起きるの?

さとる

悪い人がいるから起きるわけじゃないんだ。むしろ、がんばり屋さんがいるほど起きやすいんだよ。

  • 始めた人が、全部自分でやったほうが早いと思ってしまう
  • まわりの人も「あの人がやってくれるから」と頼ってしまう
  • やり方が、その人の頭の中にしかない
ひなた

がんばってる人がいるのは、いいことじゃないの?

さとる

もちろんいいことだよ。でも、一人にたよりきっていると、その人が抜けたときに活動ごと止まってしまう。それに、その人自身もだんだん疲れてしまうんだ。これは次のページの「燃え尽き」の話にもつながるよ。

引き継げる活動にする工夫

ひなた

どうすればいいの?

さとる

いくつか工夫があるよ。

1. やっていることを「見える化」する

さとる

まず、活動でやっていることを全部書き出してみよう。自習会なら、たとえばこんな感じ。

仕事いつ今の担当
公民館の部屋を予約する前の月の1日ひなたちゃん
参加者に日程を知らせる1週間前ひなたちゃん
お菓子を買う前日ひなたちゃん
当日の受付当日ひなたちゃん
片付けと鍵の返却当日ひなたちゃん
ひなた

……全部わたしだ!

さとる

書き出してみると、こういうことに気づけるんだ。これが「見える化」の効果だよ。

2. 手順をメモに残す

さとる

「部屋の予約は、公民館の窓口で、この用紙に書いて出す」のように、手順をメモに残しておくと、初めての人でもできるようになるよ。

こういうメモを「マニュアル」と言うこともあるけど、最初は箇条書きのメモで十分なんだ。

3. 少しずつ任せる

さとる

いきなり全部を任せるんじゃなくて、最初は一緒にやって、次は見守りながら任せて、最後は完全に任せる、という順番で少しずつ渡していくといいよ。

「お菓子係」のように小さな役割から任せると、任される側も気軽に引き受けやすいんだ。

4. 「2人で1つ」にする

さとる

大事な仕事は、2人以上がやり方を知っている状態にしておくといいよ。一人が休んでも、もう一人がいれば止まらないからね。

次の世代に引き継ぐ

ひなた

わたしたちが卒業したら、自習会はどうなるの?

さとる

そこが「世代交代」の話だよ。学生の活動は、卒業という終わりの時期が最初からわかっているよね。だから、早めに準備ができるんだ。

  • 1年生や2年生にも、早いうちから参加してもらう
  • 卒業の半年前くらいから、少しずつ役割を渡していく
  • 卒業したあとも、ときどき顔を出して相談に乗る
さとる

ちなみに、地域の大人の活動では、「同じ人が何十年も続けて、気づいたらみんな高齢になっていた」ということがよくあるんだ。2章の自治会や民生委員のページで出てきた、担い手不足の話だね。

ひなた

どうして若い人が入らないの?

さとる

いろんな理由があるけど、「入りにくい雰囲気」があることも多いんだ。

  • 長くいる人だけでわかる言葉や決まりがある
  • 新しい人の意見が通りにくい
  • 「やるなら全部やってね」と、関わり方を選べない

新しい人が入りやすい活動にすることは、7章の「閉じたグループにならないために」でも考えるよ。

ポイント

  • 活動が特定の一人にたよりきっている状態を「属人化」と言い、その人が抜けると活動が止まってしまう
  • やっていることを書き出して「見える化」し、手順をメモに残し、少しずつ任せ、大事な仕事は2人以上が知っている状態にする
  • 世代交代は、早めに次の人に参加してもらい、少しずつ役割を渡していくことが大事
  • 新しい人が入りやすい雰囲気をつくることも、担い手を増やすカギになる