わかりやすいまちづくり入門

3章 「みんなのため」ってなに?

企業だけではできないこと

このページでわかること

  • 企業は、もうけを出さないと続けられないため、「もうからない」「払えない人がいる」「人数が少ない」「時間がかかる」困りごとには手が届きにくい
  • それでも企業は、寄付、ボランティア、ソーシャルビジネスなどでまちづくりの大事な仲間になる
  • 行政と企業の手が届きにくいところで、市民活動が力を発揮する。ただし続けるのが難しいという弱みもある
ひなた

このページでは、企業だけではできないことについて説明するよ。

企業は何のために動く?

ひなた

企業は、商品やサービスを売ってるよね。困ってる人がいたら、それを売ればいいんじゃないの?

さとる

企業は、お客さんが欲しいものを届けて、その代わりにお金をもらうことで成り立っているよね。この仕組みはすごく便利で、たくさんの人の暮らしを支えているんだ。

でも、企業はもうけを出さないと続けられない。だから、どうしても手が届きにくいことがあるんだよ。

理由1 もうからない

さとる

いちばん大きな理由は、必要だけど、もうからないことだよ。

たとえば、お年寄りが多くて人口が少ない地域のバス路線。乗る人が少ないと、運賃だけではバスの燃料代や運転手さんの給料がまかなえない。そうすると、バス会社はその路線をやめざるをえなくなるんだ。

ひなた

でも、そのバスがないと困る人がいるよね。

さとる

そうなんだ。企業にとっては「赤字の路線」でも、そこに住む人にとっては「病院や買い物に行くための大事な足」なんだよね。

理由2 お金を払えない人がいる

さとる

2つ目は、本当に困っている人ほど、お金を払えないことがあるということだよ。

前のページの、ひとりでご飯を食べる子を思い出してみて。その子がお弁当を買うお金を持っていなかったら、お店は売ることができないよね。

ひなた

お店がタダであげたら?

さとる

1回や2回ならできるかもしれない。でも、毎日タダであげていたら、お店はつぶれてしまうよね。企業の仕組みだけでは、お金を払えない人の困りごとは解決しにくいんだ。

理由3 人数が少ない

さとる

3つ目は、困っている人の数が少ないことだよ。

企業は、たくさんの人に売れるもののほうがもうかる。だから、少ない人しか必要としないものは、商品になりにくいんだ。

  • めずらしい病気の子どもと家族の支援
  • 外国から来たばかりの人の生活のサポート
  • 人がほとんど住んでいない地域への配達

理由4 効果が出るまで時間がかかる

さとる

4つ目は、効果が出るまで何年もかかることだよ。

子どもの学習支援や、地域のつながりづくりは、成果が目に見えるまでに10年、20年かかることもある。すぐにお金にならないことは、企業は続けにくいんだ。

企業ができることもある

ひなた

じゃあ、企業はまちづくりにはあんまり役に立たないの?

さとる

そんなことないよ。2章で話したように、企業もいろんな形でまちづくりに関わっているよね。

  • 寄付や協賛で、市民活動を支える
  • 社員がボランティアとして参加する
  • 本業を工夫して、地域の困りごとを解決する(ソーシャルビジネス)

「企業だけでは」できないことがある、というだけで、企業も大事な仲間なんだ。

ここでも市民活動の出番

さとる

企業に手が届きにくいところでも、市民活動が力を発揮するよ。

企業の苦手市民活動ができること
もうからないボランティアや寄付の力で続ける
払えない人がいる無料や安い値段で届ける
人数が少ない少数の人の困りごとにも寄りそう
時間がかかるもうけより「必要だから」で続ける
さとる

たとえば、バスがなくなった地域では、住民が自分たちで車を出して、お年寄りを病院や買い物に送り迎えする活動が生まれているよ。行政がお金を出して、住民が運営する「地域のバス」を走らせている町もあるんだ。

ひなた

公・共・私が、ここでも助け合ってるんだね。

ここまでのまとめ

さとる

3章のここまでの話をまとめると、こうなるよ。

  • 公益(みんなのため)は、行政だけのものじゃない
  • 行政には「公平・手続き・前例・見えにくさ」、企業には「もうけ・払えない人・少ない人数・時間」という、仕組みの上で手が届きにくいところがある
  • その手が届きにくいところで、市民活動が力を発揮する
ひなた

でも、ボランティアや寄付だけで、ずっと続けられるのかな?

さとる

まさにそこが、このサイトでいちばん考えたいところなんだ。市民活動には強みがあるけど、続けるのが難しいという弱みもある。

それは5章でじっくり考えるとして、次のページでは、日本で市民活動がどうやって広がってきたのか、その歴史を見てみよう。

ポイント

  • 企業は、もうけを出さないと続けられないため、「もうからない」「払えない人がいる」「人数が少ない」「時間がかかる」困りごとには手が届きにくい
  • それでも企業は、寄付、ボランティア、ソーシャルビジネスなどでまちづくりの大事な仲間になる
  • 行政と企業の手が届きにくいところで、市民活動が力を発揮する。ただし続けるのが難しいという弱みもある